山形・酒田へ――「おしん」の故郷を訪ねて

山形・酒田へ――「おしん」の故郷を訪ねて

酒田市の概要

「おしん」の舞台として知られる山形県酒田市は、NHKの連続テレビ小説『おしん』が1980年代に放送され、アジア各地で大きな反響を呼びました。また、第81回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した映画『おくりびと』(2008年公開、滝田洋二郎監督・本木雅弘&広末涼子主演)も、酒田市をロケ地の一部として撮影。そのため、日本だけでなく海外でも注目される港町となっています。

酒田市は山形県の北西部に位置し、江戸時代から船舶交易で大いに栄えた歴史をもちます。今回は、その豊かな歴史と文化を感じられるスポットの一部をご紹介します。


1. 本間家旧本邸

所在地:〒998-0045 山形県酒田市二番町12-13
交通:JR酒田駅から自転車で約8分

江戸時代に屈指の豪商・地主だった本間家の旧本邸。3代目当主・光丘は倹約と慈善事業に尽力し、多くの人々から敬愛されていたそうです。

この建物は当初、1768年に幕府巡見使(幕府の巡視役)をもてなすために建てられ、その後は藩主から譲り受けた邸宅として使用されました。敷地内には樹齢400年以上といわれる見事な赤松がそびえ、武家屋敷の趣と商家建築の要素が融合した独特な建築様式が特徴です。

本間家旧本邸のホームページ

本間家旧本邸 別館

旧本邸の向かいに位置する別館は、本間家が代々営んできた店舗部分。帳簿や度量衡器具、調理道具などの商家にまつわる展示コーナーと、観光客向けのお土産販売コーナーに分かれています。


2. 山居倉庫(さんきょそうこ)

所在地:山形県酒田市山居町1-1-20
交通:本間家旧本邸別館から自転車で約3分

江戸時代から明治期にかけて、米どころ庄内の玄関口として大きな役割を果たした「山居倉庫」。1893年(明治26年)に14棟建てられ、現在は12棟が現存しています。庄内米歴史資料館や観光物産館などに使われている3棟以外の9棟は、今でも現役の米倉庫として利用中。

ケヤキ並木に囲まれた木造倉庫群は、NHKの連続テレビ小説『おしん』のロケ地としても有名。2021年3月には国の史跡に指定されるなど、歴史的・文化的価値が高いスポットです。


3. 酒田市美術館

酒田美术馆 〒998-0055 山形県酒田市飯森山3丁目17-95

所在地:〒998-0055 山形県酒田市飯森山3-17-95
交通:JR酒田駅から大学線のバスに約20分乗車、「酒田市美術館・出羽遊心館」バス停で下車、徒歩1分
休館日:毎週月曜(祝日の場合は翌日休館)
入館料(常設展):大人700円

ここでは、文化勲章受章画家の森田茂や彫刻家の高橋剛、洋画家の国領経郎など、地元・酒田にゆかりのある作家の作品を鑑賞できます。企画展の内容によって入場料が変わるので、詳細は公式サイトをチェックしてください。


4. 土門拳記念館

所在地:山形県酒田市飯森山2-13
交通:酒田市美術館から徒歩約15分
入館料:一般800円/学生400円/小・中学生無料

世界的にも高名な写真家・土門拳(1909-1990)は山形県酒田市の生まれ。『古寺巡礼』や『ヒロシマ』などの作品で知られ、「真実性」を追求した作風は日本写真史において特別な地位を占めています。

土門拳記念館は彼の作品7万点以上を収蔵する施設として1983年に開館し、建築デザインは谷口吉生氏が手がけました。外壁に花崗岩を使用した美しい建物が印象的で、中庭や庭のオブジェは勅使河原宏氏や彫刻家のイサム・ノグチの手によるものです。

ご来館案内 | 山形県酒田市 土門拳記念館

5. 酒田ラーメン

2023年10月5日~9日に東京・新宿大久保公園で行われた「全国ラーメンフェスティバル2023」で見事1位を獲得し、「ラーメン日本一」と評された酒田ラーメン。地元民にも愛される老舗として、下記2店をご紹介します(筆者個人の体験に基づく情報であり、広告ではありません)。

満月(まんげつ)

  • 住所:山形県酒田市東中の口町2-1
  • アクセス:JR酒田駅から徒歩約15分
  • 営業時間:11:00~16:30(不定休)

1960年創業の人気店。魚介出汁を生かしたスープが評判です。

花鳥風月(かちょうふうげつ)

  • 住所:山形県酒田市東町1-3-19
  • アクセス:JR酒田駅から徒歩約15分
  • 営業時間:11:00~20:30(冬季の1月中旬~2月末は~19:00)
  • 定休日:なし

こちらも地元で長年親しまれる名店。季節によって営業時間が変わるため、来店前の確認がおすすめです。


旅行のヒント

  1. 交通アクセス
    • 羽田空港→庄内空港(約1時間)、庄内空港から酒田駅へはバスで約35分
    • 東京駅(上越新幹線)→新潟駅→特急「いなほ」→酒田駅(約4時間20分)
    • 東京駅(山形新幹線)→新庄駅→陸羽西線(りくうさいせん)→酒田駅(約5時間)
  2. レンタサイクル(観光客向け無料)
    • 利用期間:4~11月(12~3月は雪や凍結のため貸出不可)
    • 貸出場所:酒田駅前観光案内所、酒田グリーンホテルなど
    • 利用時には身分証明書の提示や手続きが必要となります。

まとめ

山形県酒田市は、NHKドラマ『おしん』や映画『おくりびと』などで一躍有名になった、港町の風情が色濃く残る地域です。豪商・本間家の旧邸宅や山居倉庫、芸術好きには外せない土門拳記念館など、見どころは数多く存在します。
美しい日本海の景観と、地元に根差したラーメン文化も魅力。歴史と芸術、そしてグルメを同時に堪能できる酒田で、あなただけの“新しい発見”を味わってみてはいかがでしょうか。