山形—花笠祭り

山形—花笠祭り

山形市は四方を山に囲まれ、歴史と文化が色濃く息づく場所です。今回の旅では、歴史ある山形城の遺構が残る霞城公園を見学し、旧济生馆本馆(山形市郷土館)で過去の医療文化に触れ、紅の蔵で木芥子(こけし)の絵付け体験を楽しみました。さらに御殿堰のグルメスポットや、昼夜それぞれに盛り上がる花笠祭の様子も拝見し、どれも忘れられない思い出となっています。


山形市内地図


山形市の夏を彩る花笠祭

日本各地には多彩な伝統行事がありますが、山形市を代表するのが「花笠祭」です。毎年夏に行われるこの大イベントには、活気あふれる音楽と情熱的な踊りが詰まっています。私が山形市を訪れた数日間は、ちょうど花笠祭の開催期間中。おかげで旅行全体のハイライトとも言える、印象的な体験を味わうことができました。

当日の主なルート:
山形駅 ⇒ 霞城公園 ⇒ 山形花笠祭(昼の部:山形創造都市センターQ1) ⇒ 歌懸稲荷神社 ⇒ 紅の蔵 ⇒ 七日町御殿堰 ⇒ 山形県郷土館「文翔館」 ⇒ 山形花笠祭(夜の部)

8月の山形は日差しが強い真夏ですが、花笠祭期間中は市街地のあちこちに彩り豊かな提灯や横断幕が飾られ、商店の入り口には花笠のオブジェなども見られます。宿泊した旅館のロビーにも祭りの飾りが設置され、街全体からお祭り独特のワクワク感が漂っていました。

市内交通:市内循環バス
山形駅のバス案内所には市内循環バスや「紅花(べにばな)ちゃん観光バス」などがあり、市内の主要スポットを効率よく回れます。乗り場は山形駅東口バス案内所の1番と2番のあいだ付近が目印です。


霞城公園(かじょうこうえん)

旅の最初に向かったのは、山形市霞城町にある「霞城公園」。面積約35.9ヘクタールの広大な敷地には、かつての山形城跡や山形博物館、旧济生馆本馆(山形市郷土館)、県体育館などの施設が点在します。

公園の東大手門(ひがしおおてもん)につながる木橋は、長さ約14.5m、幅約6.3mほど。下を流れる堀の水面は静かで、約20m先には山形新幹線の線路があり、時々列車が通ります。この東大手門は史料をもとに江戸時代中期の様式で復元されたもので、1991年3月に再建されました。

門をくぐると、まず目に入るのが最上義光(もがみよしあき)公の騎馬像。山形城第11代城主として名を馳せた武将の姿に、当時の凛々しさや戦国の息吹を感じるでしょう。

さらに奥へ進むと、大手橋や本丸一文字門の優美で重厚な建築が復元されており、その先は広々とした本丸御殿跡の芝生エリアが広がります。数百年前の城下を想像すると、まるでタイムスリップしたような不思議な感覚を味わえます。

  • 所在地:山形市霞城町
  • 開園時間:9:30~16:00(見学に要する時間は60分~120分程度)

山形市郷土館

霞城公園内にある山形市郷土館は、明治期に建設された医療施設「旧済生館本館」を活用した博物館です。当時使用されていた医療器具や資料が展示されており、過去の医療水準や地域の医療に対する姿勢をうかがい知ることができます。

建物自体はユニークな西洋建築様式で、14角形の回廊や螺旋階段が施された貴重な造り。国の重要文化財にも指定されており、医療史や建築史の両面から見ても興味深いスポットです。

  • 所在地:山形県山形市霞城町1-1
  • 開館時間:9:00~16:30
  • 休館日:年末年始(12月29日~1月3日)
  • 料金:無料

山形創造都市センターQ1

ここはかつて「山形市立第一小学校」の旧校舎で、山形県内で最初に造られた鉄筋コンクリート建築だそうです。国の有形文化財および近代化産業遺産にも登録され、2022年9月に「山形創造都市センターQ1」としてリニューアルオープンしました。

建物内には考古・教育資料の展示や、ショップ、レストランなどがあり、花笠祭期間中は昼の部の会場として利用されます。ここではプロの講師による「花笠踊り」のレッスンが行われ、観光客も簡単なステップを覚えて夜の本番に参加できるという魅力的な仕組みです。

  • 所在地:山形市本町1-5-19
  • 開館時間:9:00~22:00
  • 休館日:原則なし(年末年始などはHPで要確認)

歌懸稲荷神社(うたかけいなりじんじゃ)

神社名の「歌懸」という言葉は、昔ここに参詣する人々が奉納した和歌や連歌の短冊に由来するそうです。神仏習合の時代には五佛山如来寺吉祥院としての歴史も持ち、現在の御本尊は千手観音と伝えられています。

  • 所在地:山形県山形市十日町1-1-26
  • 開門時間:6:00~18:00
  • 公式サイト歌懸稲荷神社
歌懸稲荷神社
山形市十日町にある歌懸稲荷神社のウェブサイトです。当神社は、山形城主斯波兼頼が山形城の守り神として城内に建立したのが、その始めと伝えられています。

山形MARUGOTO館「紅の蔵」

江戸時代、山形は紅花(べにばな)の一大産地として栄えました。その紅花商人・長谷川家が所有した蔵を活用した複合施設が「紅の蔵」です。飲食店やショップがあり、当時の建物を感じられる趣ある空間が楽しめます。

食事後のアイスクリームは格別
木芥子(こけし)の絵付け体験

ここでは食事後のアイスクリームも格別! また、木芥子(こけし)の絵付け体験ができ、顔や模様を自分で描いてオリジナルのこけしを作れます。ひと筆ずつ集中して描くと、心が和み、旅の思い出にもぴったりです。

  • 所在地:山形市十日町2-1-8
  • 定休日:各店舗により異なる

七日町御殿堰(なぬかまち ごてんぜき)

紅の蔵から歩いてすぐの場所にあるのが、七日町御殿堰。江戸時代、山形城主だった鳥居忠政が農業用水の確保を目的に整備した堰(せき)で、「山形五堰」の一つとされています。夏でも涼しげなせせらぎが流れ、整備された親水空間「水のまちや」は散策にも最適です。

  • 所在地:山形市七日町2-7-6

山形県郷土館「文翔館」(ぶんしょうかん)

文翔館

1975年まで山形県庁舎・県会議事堂として利用されていた建物です。イギリスの近代ルネサンス様式を取り入れた壮麗なレンガ造りで、築100年以上の歴史があります。1984年に国の重要文化財に指定され、現在は「文翔館」の名称で公開されています。

3階建ての旧県庁舎と2階建ての旧県会議事堂には、それぞれ時計台や中央階段、貴賓室、高官の食堂など見どころがいっぱい。時を刻む時計台は日本で現存する中でもかなり古く、札幌時計台に次ぐ歴史があるのだとか。
ロケ地としても人気があり、館内には写真や説明パネルが設置されています。

  • 所在地:山形市旅筅町3丁目4-51
  • 開館時間:9:00~16:30
  • 休館日:毎月第1・第3月曜(祝日の場合は翌日休)、年末年始
  • 交通:市役所前バス停下車、徒歩約3分
  • 料金:無料
公益財団法人 山形県生涯学習文化財団|遊学館 & 文翔館
山形県民の生涯学習及び文化活動を支援、助長し、これらの活動を基盤とした生涯設計、社会生活の創造、地域文化の振興を図るとともに、地域社会の活性化を担う人材の育成に資することを目的としています。

夜の花笠祭 — 華やかなる群舞

夕方18時から21時45分頃まで、山形市十日町~本町・七日町通り~文翔館前にかけて大規模なパレードが行われます。伝統衣装をまとった踊り手たちが、軽快なリズムに合わせてカラフルな“花笠”を手に舞い踊る様子は圧巻。その踊りには「薫風最上川」「蔵王暁光」などの型があり、何百人もの人々が一体となって優雅かつ力強いステップを踏み続けます。夜空を照らす照明と音楽に包まれた光景は、夏の山形が誇る一大エンターテインメントと言えるでしょう。


まとめ — 花笠祭に心踊る夏の山形

このように山形では、花笠祭をはじめとして情熱的で人々を惹きつける祭典が多彩に行われています。踊りのリズムや太鼓の音色が街中に響き、訪れた人々を温かく迎えてくれます。四季折々に文化行事が絶えない山形へ、あなたもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

詳細は下記の公式サイトを参考にすると、最新の祭り情報やイベント日程を確認できます。
やまがた旅の情報サイト「VISIT YAMAGATA」