網走――ちょっと違う発見の旅
友人いわく、「旅とは、必要最小限の荷物を携えて、慣れ親しんだ場所をあとにし、未知の道を期待とともに歩むこと」。本記事は、私と友人が北海道を巡る旅の途中で訪れた網走(あばしり)の自由旅行記です。読んでくださる皆さんにも、それぞれの旅で見つかる感動や美しさを感じとっていただければ幸いです。
当日のルート
- 網走駅
↓(自転車で移動) - 博物館 網走監獄
- 北海道立北方民族博物館
- オホーツク流氷館 & 天都山展望台
- 網走駅
↓(列車移動) - 小清水原生花園
この日は市内観光が盛りだくさんだったので、駅前で自転車(レンタサイクル)を借りて回ることにしました。
1. 日本唯一の「監獄博物館」
最初の目的地は、網走駅から自転車で向かった「博物館 網走監獄」。ここは実際に使用されていた刑務所施設を一般公開している、日本で唯一の博物館です。建物は120年以上の歴史をもち、2016年には展示されている8棟の建造物のうち2件が国の重要文化財に指定されました。

北海道開拓の歴史と映画の舞台
過酷な環境で道路開削などの重労働に従事した囚人たちの歴史を知ることができる貴重な場所でもあり、多くの映画のロケ地としても知られています。たとえば、高倉健主演の『網走番外地』や山田洋次監督の『男はつらいよ』(渥美清主演)、『幸福の黄色いハンカチ』(高倉健・倍賞千恵子主演)などに登場。
また、“日本の脱獄王”と呼ばれた白鳥由栄(しらとりよしえ)が4度の脱獄を成し遂げたというエピソードも有名です。
監獄食堂でランチ体験
見学のあとは、館内にある「監獄食堂」で囚人食のメニューを模したランチを味わうこともできます。
- 博物館 網走監獄(公式サイト)
(中国語ページもあり)
2. 北海道立北方民族博物館
続いて向かったのは、日本で唯一“北方民族”の文化を専門的に扱う「北海道立北方民族博物館」。北海道のアイヌ民族をはじめ、ロシアやカナダ、中国など世界各地の北方民族に関する展示が充実しており、無料で利用できる多言語音声ガイド(中国語含む)があるため、じっくり学ぶことができます。
服飾体験が人気
アイヌの伝統衣装やモンゴル族の民族衣装を試着できるコーナーがあり、記念撮影にもぴったり。見て、聞いて、体感して、北方の文化にぐっと近づける施設です。
- 北海道立北方民族博物館
(公式サイトで詳細確認を)
3. 驚きいっぱいのオホーツク流氷館
北方民族博物館から約10分ほど自転車を走らせると、オホーツク海と流氷をテーマにした「オホーツク流氷館」があります。少し上り坂なので到着時には息が上がっていましたが(笑)、ここは見どころ満載の科学館です。
マイナス15度の体験室!
地下1階にある「流氷体感室」は室温がマイナス15度。入口で渡される濡れタオルを中に持ち込み、数十秒もするとタオルがカチカチに凍ってしまいます。夏でも本物の流氷を間近で見られるのは衝撃的。
また、オホーツク海の生き物を紹介するコーナーでは、氷の妖精とも呼ばれる「クリオネ」(裸海蝶)が優雅に泳ぐ姿に魅了されました。
天都山展望台とオホーツクブルー
3階の展望台は360度のパノラマビュー。晴れていれば網走湖や能取湖、遠くには知床連山やオホーツク海まで見渡せる絶景スポットです。5月中旬頃には「天都山さくらまつり」が開催され、エゾヤマザクラが満開になるそう。
名物ソフトクリーム
見学後、1階でオホーツク海の塩をまぶした“香草牛乳ソフトクリーム”を食べました。ほのかな塩味がミルクの甘みを引き立て、絶品の味わい!北海道の夏といえば、やっぱり冷たいソフトクリームですね。
4. 小清水原生花園(こしみず げんせいかえん)
アクセス
- 網走駅から釧路方面の列車に乗り、原生花園駅で下車(約22分)
- 6~8月がベストシーズン
出発前に、網走駅近くの売店でカニとマツタケが入った“駅弁”をゲット。これがまたおいしくて、旅の楽しみがさらに増しました。
原生花の美しさ
小清水原生花園は、オホーツク海と涛沸湖(とうふつこ)に挟まれたエリアにあり、約275ヘクタールの広大な自然草原が広がります。木道を散策すると季節ごとに様々な野生の花々(エゾスカシユリやエゾキスゲなど)を楽しめます。
浜ナス(ハマナス)や名もなき野の花、草原を自由に駆け回る馬たち…。人工的な整備が最低限に抑えられた花園だからこそ、北国の大自然がありのまま残されているのです。
旅行のヒント
- インフォメーションセンター横には、無料の自転車貸し出し(台数限定)があるので、サイクリングもおすすめ。
- 列車の本数が少なめなので、帰りの時刻を確認しておくと安心です。
網走への行き方
飛行機
女満別(めまんべつ)空港は網走の玄関口で、主要都市からのアクセスは以下の通り:
- 新千歳(札幌)…約50分
- 丘珠(札幌)…約50分
- 東京(羽田)…約1時間50分
- 名古屋(中部)…約2時間
- 大阪(関西)…約2時間30分
空港から網走市内までは車やバスで約30分程度。
JR利用
- 札幌駅から特急で約5時間30分
- 旭川駅から特急で約3時間50分
- 釧路駅から快速で約3時間20分
- 知床斜里駅から普通列車で約50分
冬季には、網走~知床斜里間で「流氷物語号」という観光列車が運行され、車窓から流氷を眺める絶景旅が楽しめます。
市内交通
定期観光バスについては、網走バス株式会社公式サイトで最新の運行情報をチェック。

レンタサイクル
- 駅周辺には数軒のレンタサイクル店あり
- 今回利用した「渡辺サイクル」は駅から1.1kmほど離れており、徒歩約15分。住所:北海道網走市南6条西1丁目
おすすめ宿泊予約サイト
- Booking.comなどで網走市のホテルを検索可能。

まとめ
北の大地・網走には、手つかずの自然、歴史深い文化施設、心温まる食体験など、多彩な魅力が詰まっています。今回の自由行で得られたさまざまな感動は、何ものにも代えがたい宝物となりました。
あなたもぜひ、網走で“ちょっと違う”発見の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。雄大なオホーツクの景色と、そこで育まれた人々の物語が、きっとあなたの心を豊かにしてくれることでしょう。